通勤中の電車の中で近くにいた女子大生と思しき人たちの会話に「バイト代はいったら鬼滅の刃大人買いしたる!」というものがありました。なるほど確かに女子受けしそうな漫画だなと思いつつ、なんでそんなにブレイクしたのかちょっと考えてみました。
1.王道展開
古今東西物語の原型はギリシア時代の喜劇・悲劇にあるといわれてます。そんな時代に大衆受けするストーリーは出尽くしたのかもしれず、よくある展開でありながらそれでもやっぱり納得してしまう、そんな一つなんでしょうか。
序盤にキッチリ物語の目的が示されて、努力によって主人公が強くなってやがて敵役を倒す(だろう)という言ってみればどうってことの無い筋書きですが、それが観る者を安心させる側面はあります。
ただ一般的な王道のストーリーではボーイミーツガールという筋書き、ヒロインが登場するのですが、鬼滅の刃のヒロインは妹の禰󠄀豆子なのか栗花落 カナヲなのか今一つはっきりしておらず、そのあたりが王道でありながら周りを飽きさせていない理由なのかもしれません。
2.悪役のドラマ
昨年話題をかっさらったホアキン・フェニックスの「ジョーカー」然り、悪役にも悪役なりのドラマがあるというのが目の肥えた視聴者にはより深い奥行きを物語に感じさせます。鬼というこれまでは単なる悪役として登場する事の多かった存在にもきちんと脚光を当てている点が惹きつける者を増やしているのかもしれません。
3.音楽
優れた映画やドラマにマッチングした音楽というものはこれまでも時代を席捲してきました。LiSAさんの唄う「紅蓮華」が大ヒットして紅白にも登場したのは単なるオープニング以上の力をこの楽曲が持っていたことを示しているのでしょう。また梶浦由記さんの音楽が持つ物悲しい雰囲気もまた物語にマッチしており、そのあたりが評価を高めているのかもしれません。
などと考えてみましたが、一つ一つはそれほど奇抜なことではありませんが、それらがうまく組み合わさったハーモニーなのかもしれませんね。そう考えると監督の手腕もまた素晴らしいということになるのでしょう。