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【映画】『未来のミライ』感想(ネタバレなし) 家族をテーマにした感動作がなぜ評価が低いのか 構成上の問題点とは

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 おススメ度★★★

 てっきりタイトルから未来ちゃんが主人公のストーリーかと思っていたら、話はちびっこの未来ちゃんの兄であるくんちゃんを中心に進みます。細田監督らしいファンタジーと現実が融合した舞台設定で最終的にはキレイにまとまった世界観なのですが、いかんせん問題があると思いました。というのは登場人物は基本的に好感が持てて未来ちゃんをはじめ、ペットのゆっこ、イケメンのひいじいじなど良いキャラなのですが、肝心の主人公たるくんちゃんが一番どうしようもないクズなのです。わがままで泣き虫で、と正直みていてイラッとします。おそらく映画や小説が好きな人の少なくない人達は自らを主人公やヒロインに感情移入させて物語に入り込みます。客観的に冷静な鑑賞をしていては作品を観終わった際に涙を流すには至らないでしょう。そうなるとこの作品の場合、特に意識をしなければくんちゃんの視点で物語をみるわけですが、見ていると腹立たしいその人物に素直に共感できないわけです。これがおそらくこの作品の一番の問題点で、多くの人の評価を下げてしまった要因なのではないでしょうか。これを避けるためには意識的に主観を取り除いて客観的な目で作品を観る必要があり、それは元来映画ファンの求める鑑賞方法とは異なるのだと思います。
 細田監督自身の子育てをヒントに生まれた作品だとは思いますから、アイデアや話の筋は良かったように感じますので素人の浅はかな思い付きではありますがそれこそ未来ちゃんの視点で描かれていればなあと考えたりしてしまいます。

 漫画家などにもよくあるケースですが、デビューしたての頃は自身の描きたい作品という事もさることながらプロデューサーであったり編集者であったり第三者の意見を半ば無理やり取り入れさせされることがよくあります。あの宮崎駿監督もナウシカでは徳間書店の横槍が入っていますし、鳥山明先生なんかもそういう話は時々漫画にしていますね。それが良いか悪いかという話はさておき、結果としてよい作品が生まれある程度成功すると作家は自らの描きたかった作品を公表する権利(?)を手にするともいえます。そこでさらに名声を高めるケースももちろん多いのですが、そうでないケースもまたあるわけです。細田監督に関して言うと、残念ながら縛りのあった時代の方が良い作品を生み出していたように思えてなりません。ただいったんフリーハンドを得てしまった名匠は自らそれに気が付く必要があり、それは実に至難の技であるわけです・・・。果たして再び「時をかける少女」や「サマーウォーズ」を超えるような作品に出合えることはできるんでしょうか。是非とも期待したいものです。


 ただこの作品、最初に嫌悪感を抱いてはしまいますが、なんとかそれを飲みこんでみていると最後にはくんちゃんの成長物語として、家族の愛について語られたストーリーに心が温められると思います。子ども同様なんとか辛抱強く見守りましょう。

 

 

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