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【映画】『この世界の片隅に』感想 戦前~戦後まで太平洋戦争を庶民の視点から描き、戦争による喪失の意味を問う珠玉の作品

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おススメ度★★★★

 

 昭和10年からスタートし、戦前の広島市の様子が描かれ途中からは呉へと舞台が移ります。主人公のすずさんは絵が好きでボーっとしているけれど真っすぐに生きていきます。

 多くの映画が純然たるエンターテイメントであるのに対し、この作品からはちょっと違った雰囲気を感じます。例えば「君の名は。」で新海誠監督自身がおっしゃるように大衆受けを目指した作風とは一線を画する、媚びない作品であるように思うわけです。

 日本が経験した太平洋戦争という時代に生きた人々の生きる様子が大変リアルに描かれており、我々日本人が通ってきた道を思い出させてくれます。日本ではこの「戦争」に対して一種のタブー視のようなものがあり、教育でもメディアでも戦争について多くが語られないまま戦後が過ぎ去っていきました。それはGHQによるものなのかもしれませんし、日本人の精神によるものなのかもしれませんが、日本人が日本人として生きていく上で辿ってきた歴史を知ることはとても大切な事だと思います。

 戦争映画というとミリオタを満足させるディティールにこだわった作品や、あるいは戦争の凄惨さなどから嫌戦を訴える両極端なものが多いように感じますが、戦争礼賛では無くかといって戦争はダメ!みたいな一本槍でもないこの作品はどちらかというとフラットな視点で描かれている事が心に響いてくる要因な気がします。

 戦争はしていても庶民の暮らしは続き、その中でいろいろな喪失をしながらも日々を生きていく様子にたくましさと切なさを感じます。同じ戦争を描いた「火垂るの墓」はより戦争の暗黒面が全面に押し出されているのに対して、戦争がどこか遠くの出来事のように感じさせながらも身近に様々な影響が出てくる様子が描かれているこの作品は、おそらく日本の標準的な風景であったのではないかと想像されます。

 

 この作品はお茶の間で見るというよりも学校の社会の時間なんかに流して欲しいなと思いますね。日本人なら知っておいて損はない、そんなお話のように思います。

 


映画『この世界の片隅に』予告編

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