おススメ度★★★
いまや世界中にいるジブリファン待望の宮崎駿監督の10年ぶりの新作とあっては、いくら前宣伝がなかろうがさすがに期待せずにはいられません。とはいえハウルにせよポニョにせよ晩年の作品はそこまで気合い入れて待ち望むほどのものではなかったというのは事実ではあります。
それでもカリ城、ナウシカ、ラピュタという宝石のような作品を世に送り出してきた宮崎駿監督なら、という期待はどうしても抱かざるをえません。
さてそんなわけで期待半分で観に行ったわけですが、予想はいい意味で裏切られました。ストーリーとしては特筆すべきものがあるわけではありません。またメッセージ性にしても受け取り方次第というか、別にそんなものは意識していないという感じ。
ようは「ああ、宮崎駿監督が、自分の描きたい、動かしたい絵をとことん詰め込んだんだな」というのがこの映画の骨子だと思います。序盤に出てくる戦車にしても、ミリオタの監督が描きたいから描いただけで、まあ時代背景的には間違ってないんだけど、話の筋的にはいらないといえば要らない。
日本のアニメの黎明期にアニメーターが描きたい絵を元にして話の筋は後付けでできたという話を聞いたことがありますがまさにそれ。なるほど最後の作品とも言われる中でやりたいことをやってきた、というのが感想でした。
まあアニメ好きやジブリ好きなら面白く観れるとは思いますが、名作かと言われるとちょっと違うなあというのが率直な感想。やはりヒロインはヒロインらしくするべきだったと思うのよね。べただけど。