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オタクなおっさんがアニメ・ゲームにうつつを抜かしながら時間が空いたらカジノを中心に世界へと旅立つ。目標は月1海外旅行。

JR名古屋駅・髙島屋にて「新海誠」展へ 時代の寵児となった天才監督を紐解く

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  まずもって驚いたのはこの会場の中に結構な人が溢れていて、かつ様々な人達の姿が見られた事です。スーツを着たサラリーマンから着物の女性、高校生から車いすのおばあちゃんまでまさに老若男女という言葉にふさわしい陣容。ひと昔前はアニメの展示なんて言ったらヲタクの巣窟だったわけですが、今や新海誠さんは一つのポップカルチャーとなっているわけです。まあ皆さん根っからのアニメ好きなのかもしれませんから穿った見方なのかもしれませんが。時代が移り変わってアニメが文化として根付いたという部分もあるでしょうし、やはり「君の名は。」が社会に与えた影響力の大きさを感じずにはいられませんでした。

 

 さてそんな前代未聞な大ヒットを生み出した新海誠監督の才能は疑うべくもありませんが、果たしていかなる部分が突出しているのかこの展示を見ながら考えてみました。その結果思い当たった点が二つ。一つは「執念」もう一つは「人柄」です。商業作品としてのデビュー作である「ほしのこえ」を約2年かけてほぼ一人で作り上げたというエピソードに彼の凄まじい執念を感じるわけです。こだわりといってもいいかもしれません。とにかく決めたらやり抜くという姿勢が徹底されているように思え、そこに力を感じるわけです。

 そしてその2年の猶予を与えてくれたプロデューサー達。たった一人で商業アニメを作るという人間に金を出させて信用させてしまう人間力を当時から持っていたわけで、これはなかなか稀有な才能の一つと言えると思います。「君の名は。」の爆発的なヒットも仕掛け人の存在が大きいのだと感じていますが、そういった人間を巻き込めるだけの器を持っている点が素晴らしいのではないでしょうか。

 

 アニメ界では無視できない存在である宮崎駿監督も、「ラピュタ」「トトロ」と作っていた頃は興行成績が奮わずに監督生命のピンチだったわけですが、鈴木敏夫プロデューサーがついてからジブリというブランドと共に彼の名声は築かれていきました。良いアニメを作る能力はもちろん大事なわけですが、そのブランドを活かす事もまた大切な要素なわけで、そういった人材に恵まれている新海誠監督は偶然と捉えるべきではなく、その人間性の成せる技と思います。

 

 細田守さんや今は亡き今敏さん、あるいは押井守さんといった巨匠も他にいますが、今回の「君の名は。」のように作りたい作品というよりも売れる作品を作るという姿勢は他の誰よりもすごいものかもしれません。

 心配なのは今の宮崎駿監督もそうですが、そのブランド力が浸透するあまりハードルがかなり高くなってしまっている点です。果たして次回作がどのようなものになるのか興味は尽きませんが、納得のいくものをつくろうとして出来ずに終わってしまっては一発屋の誹りを受けずにはいられません。是非とも盛大な花火を打ち上げて欲しいものです。