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【映画】『ダンケルク』 クリストファー・ノーラン監督作品にしてはちょっと微妙?本物のスピットファイアのロールスロイスエンジンには痺れるかも

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おススメ度★★

 『ダークナイト』シリーズはもちろんの事『メメント』、21世紀になってからのSFとしては間違いなくトップクラス(あるいは最高傑作)とも言える『インセプシ ョン』や『インターステラー』を生み出してきた天才クリストファー・ノーラン監督作品としてはこの戦争映画は残念ながらやや平凡でちょっと退屈な感じがしてしまいました。

 陸・海・空という様々なシーンでの闘いを描いたというのはたしかにそうなのでが、陸の戦いは一方的に砲撃されるだけ、空の戦いは毎回同じようなカットで飽きてくる、海のシーンは唯一見どころがありますが戦いのシーンというよりは逃げ惑うだけ。なぜこうもダメなんだろうと考えてみましたが、おそらくその手広い感じが主人公不在を生み、群像劇として描かれているために感情移入ができない点にあるのだろうなと思いました。ドキュメンタリーならいざ知らず、いくら史実に基づくとはいえキャラクターを自由に設定したにしてはちょっと映画への引き込みの甘さを感じずにはいられません。唯一キャラクターとして魅力的だったのは最近になってハリウッドでも脚光を浴びはじめ『ブリッジ・オブ・スパイ』や『レディ・プレイヤー1』などにも出演したマーク・ライランス演じる英国の小型客船の船長です。この無名の英国紳士は自らの危険を顧みず、勇敢にかつ無謀であるものの同国人を救うために全力を尽くします。そのひたむきさには心をうたれましたし、とてもいい演出だと思いました。

 ダンケルクからの史上最大の脱出作戦(ダイナモ作戦)というのはWWⅡ好き、特にドイツマニアにとっては誰しもが知るであろう作戦ですが世界史的にはあまり有名な事件ではないようで英国(とたぶん仏)以外ではそこまで重要な出来事として認識されていないようです。ダンケルクで戦車師団が停止していなければ…という妄想は第三帝国推しの人間なら誰しも考えるところなわけですが、作成側を見れば当然と言えば当然英国人監督が作った作品なわけですから徹底的に英国サイドから見た映画になっておりドイツ兵はほとんど描かれておらずとにかく奇跡の脱出劇という舞台設定がされています。そういう点でスピルバーグ監督の『プライベートライアン』同様ドイツ兵はやられ役である為、そもそもドイツ好きからすると反対側の視点からみてしまうわけでどうしてもフラストレーションがたまりやすいので作品を観る時点で入口が間違っていたのかもしれません。ですからひょっとしたら英国好きの人が見たならばまた別の感動があるのではないでしょうか。それ以外の人間にはイマイチ伝わらないような気がしてなりません。

 戦争映画としてはスピットファイアの実機が使われ極力CGを避けたという点で見どころがあります。件の英国船長が「最高のロールスロイスエンジン」と評するエンジン音は実機かと思うとなかなか熱いものを感じさせてくれます。また本物の音ではないですが、スツーカのブレーキ音もよく表現されていたと思います。ただいかんせんメッサーシュミットBf109(実機ではありません)も含め基本ドイツ機はやられ役であり、局面的にはある意味ドイツが勝った戦いなのに作中ではボコボコにやられるのでドイツマニアには苦痛だったりします。

 ある程度見どころはあるものの全体を通じてはやはり英国人による自己満足映画、というのが客観的な評価ではないでしょうか。

 

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